「友人がVIO脱毛に10回以上通ったのに、まだ太い毛が残っていると言っていた……。明日予約している私のクリニックは大丈夫かな?」
そんな不安を抱えて、今このページを開いていませんか?医療脱毛は20万円、30万円という決して安くない投資です。しかし、多くのクリニックの公式サイトには「最新の機械だから安心」といった甘い言葉ばかりが並び、肝心の「なぜあなたの毛にそのレーザーが効くのか(あるいは効かないのか)」という物理的な根拠が語られていません。
私は美容皮膚科医として、これまで多くの「脱毛難民」の方々を診てきました。その経験から断言できるのは、医療脱毛の成功は機械の名前ではなく、あなたの毛根の深さとレーザーの「波長」が正しくマッチしているかで決まるということです。
この記事では、アレキサンドライト、ヤグ、ダイオードという3つのレーザーの物理的な違いを、あなたの「部位(VIOか産毛か)」に合わせて徹底解説します。読み終える頃には、カウンセリングで医師をタジタジにさせるほどの「選別眼」が身についているはずです。
なぜ「違い」を知らないと損をするのか?レーザーと毛根の物理学
医療脱毛を検討する際、まず理解すべきは「波長(はちょう)」という概念です。レーザーの波長は、光が皮膚のどの深さまで届くかを決定する最も重要な要素です。
結論から言えば、波長が長いほど皮膚の奥深くまで光が届きます。
プロジェクト管理において「適切なツール選び」が生産性を左右するように、医療脱毛においても「毛根の深さ」と「レーザーの波長」は、切っても切れない原因と結果の関係にあります。
例えば、日本人の標準的な毛に最適なアレキサンドライトレーザー(755nm)は、メラニンへの反応が非常に鋭いのが特徴です。一方で、VIOやヒゲのように根深い毛に対しては、より波長の長いヤグレーザー(1064nm)でなければ、毛母細胞まで熱が十分に届きません。
この関係性を無視して「痛くないから」という理由だけで波長の合わない機械を選んでしまうと、回数だけが増え、最終的に「抜けない」という最悪の結果を招くことになります。

【部位別】アレキ・ヤグ・ダイオードの最適解マトリクス
あなたが最も気にしている「VIOの剛毛」と「背中の産毛」。これらを最短でツルツルにするための戦略は、実は全く異なります。
ヤグレーザーとVIOは、いわば「最強のパートナー」です。 VIOの毛根は皮膚の非常に深い位置(皮下4〜5mm)にありますが、ヤグの長い波長(1064nm)だけが、その深部まで確実にエネルギーを届けることができます。
一方で、背中や腕の産毛に対しては、メラニン吸収率が高いアレキサンドライトレーザーを低出力で当てるか、あるいは蓄熱式(SHR)のダイオードレーザーでじわじわと熱を溜めるアプローチが有効です。
以下の比較表で、あなたの希望部位とレーザーの相性を確認してみましょう。
📊 比較表
表タイトル: 部位別・レーザー波長適合度マトリクス
| 部位 | アレキサンドライト | ヤグ | ダイオード (熱破壊) | ダイオード (蓄熱) |
|---|---|---|---|---|
| VIO・ヒゲ (剛毛) | △ (深い毛に届きにくい) | ◎ (最適解) | ◯ (出力次第) | △ (回数がかかる) |
| 脇・足 (標準) | ◎ (王道) | ◯ (痛みが強い) | ◎ (バランス良) | ◯ (痛みが少ない) |
| 背中・顔 (産毛) | ◯ (硬毛化に注意) | △ (反応が弱い) | ◯ (標準的) | ◎ (リスク低) |
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: VIO脱毛をメインに考えているなら、必ず「ヤグレーザー」を置いているクリニックを選んでください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、蓄熱式ダイオードレーザーのみでVIOを完結させようとすると、最初の数回は抜けても、最後に残る「しぶとい毛」を撃退できず、結局追加料金を払ってヤグのあるクリニックへ乗り換える患者様を私は何百人も見てきたからです。
カウンセリングで見抜く!「本当に抜けるクリニック」の逆質問リスト
「うちは最新のジェントルマックスプロを導入しています」という言葉だけで安心するのはまだ早いです。重要なのは、その機械を「どう運用しているか」です。
医療脱毛機の中には、アレキサンドライトとヤグの2波長を1台で切り替えられるジェントルマックスプロのような優れた機種がありますが、クリニックによっては「手間がかかるから」「痛みが強いとクレームになるから」という理由で、ヤグを使わずにアレキだけで済ませてしまうケースも存在します。
カウンセリングでは、以下の「逆質問」をぶつけてみてください。
- 「VIOの深い毛に対して、最初から(あるいは途中から)ヤグレーザーに切り替えて照射してくれますか?」
- 「背中の産毛が硬毛化した際、波長や照射方式を変更するなどの具体的な保証プランはありますか?」
- 「私の毛質を見て、熱破壊式と蓄熱式をどう使い分けるのがベストだと考えますか?」
これらの質問に対し、物理的な根拠(波長や深達度の話)を交えて誠実に答えてくれるクリニックこそ、あなたの20万円を託すに値する場所です。
後悔する前に知っておきたい「痛み」と「硬毛化」の真実
最後に、あなたが不安に感じている「痛み」と「硬毛化」について、専門家の視点からお話しします。
まず、ヤグレーザーの痛みは「効果の証」でもあります。 深い毛根を破壊する際、どうしても周囲の神経に熱が伝わるため、アレキやダイオードより痛みは強くなります。しかし、最近は麻酔クリームや笑気麻酔を併用することで、十分に耐えられるレベルまでコントロール可能です。「痛くない=効果が低い」というわけではありませんが、VIOに関しては「ある程度の熱感」がなければ永久脱毛は成立しません。
また、背中や肩の産毛に照射した際、逆に毛が太くなってしまう「硬毛化(こうもうか)」という現象があります。これは、不適切な波長や出力で毛根を「中途半端に刺激」してしまうことが原因の一つです。
硬毛化のリスクとレーザー選択は、表裏一体の関係にあります。 産毛に対しては、最初から蓄熱式で慎重に攻めるか、あるいは硬毛化が起きた際に即座にヤグ(深い波長)に切り替えて叩くという戦略が、医学的に最も合理的です。
肩や背中の産毛に対して、不適切な出力で照射すると逆に毛が太くなる「硬毛化」が約0.6%〜10%の確率で発生するという報告があります。これを防ぐには、ヤグへの切り替えや適切な出力管理が不可欠です。
出典: 日本美容皮膚科学会雑誌 第39巻 第2号 – 日本美容皮膚科学会
納得のいく投資を。あなたの毛質に合わせた「脱毛戦略」を立てよう
医療脱毛は、単なる「お買い物」ではなく、あなたの体を変える「医療行為」です。
友人の失敗談を聞いて不安になっていたあなたも、もう大丈夫です。「アレキは標準、ヤグは剛毛、ダイオードは産毛」という基本原則と、それをクリニックがどう使い分けているかを確認する術を手に入れました。
明日(あるいは今日)のカウンセリングでは、ぜひ胸を張って質問してください。知識という武器を持ったあなたなら、広告の甘い言葉に惑わされることなく、数年後に「あの時、この機械を選んで本当によかった」と思える最高の選択ができるはずです。
あなたの脱毛の旅が、最短で、そして最高の笑顔で終わることを心から願っています。
[著者情報]
K.A.
美容皮膚科医 / レーザー物理学研究者。15年以上の臨床経験を持ち、大手クリニックでの技術指導も担当。特定の機種に偏らず、物理法則に基づいた「最短で終わる脱毛戦略」を提唱している。