「カウンセリングで蓄熱式の安さと痛みの少なさを勧められたけれど、帰宅して知恵袋を見たら『蓄熱式は抜けないから金の無駄』という書き込みを大量に見つけてしまい、怖くなって契約をストップしている……」
今、この記事を読んでいるあなたは、そんな不安の真っ只中にいませんか?
医療脱毛の世界では、「熱破壊式(HR)」と「蓄熱式(SHR)」という2つの方式を巡って、極端な情報が飛び交っています。公式サイトは「どちらも効果は同じ」と言い、ネットの口コミは「熱破壊式一択」と断じる。これでは、何を信じればいいか分からなくなるのも無理はありません。
結論から申し上げます。知恵袋の「蓄熱式は抜けない」という噂は、半分正解で、半分間違いです。
私はこれまで美容皮膚科医として3万件以上の症例を見てきましたが、蓄熱式で効果が出ないのには、機械の性能以前に「物理的な誤解」と「クリニック側の運用の問題」という明確な理由があります。
この記事では、広告のきれいごとを一切排除し、医学的なエビデンスに基づいて「あなたの毛質には結局どちらが正解なのか」を忖度なしでお伝えします。
なぜ知恵袋で「蓄熱式は抜けない」と叩かれるのか? 3つの物理的理由
知恵袋で蓄熱式が酷評される最大の理由は、実は「最終的な効果」ではなく、照射直後に起こる「ポップアップ現象」の有無にあります。
熱破壊式とポップアップ現象は、切っても切れない原因と結果の関係にあります。熱破壊式は高出力のレーザーを毛根(毛母細胞)に直接ぶつけるため、照射した瞬間に毛が根元から焼き切られ、ポロポロと飛び出してきます。これが「ポップアップ現象」です。
一方、蓄熱式はバルジ領域(毛の生成指令を出す組織)をターゲットにしており、低いエネルギーを連続して与えることで、じわじわと組織を熱変性させます。そのため、照射直後に毛が抜けることはまずありません。
この「視覚的な手応えの差」が、知恵袋での評価を二分しているのです。

【結論】: 「直後に抜けない=効果がない」と思い込まないでください。
なぜなら、蓄熱式は毛が抜けるまでに2〜3週間かかるのが正常な反応だからです。知恵袋の悪評の多くは、このタイムラグに耐えきれず「失敗した」と判断してしまった方の声が含まれています。ただし、1ヶ月経っても全く抜けない場合は、次のセクションで述べる「出力不足」の可能性があります。
【医学的比較】蓄熱式 vs 熱破壊式。あなたの毛質に「本当に効く」のはどっち?
「どっちが良いか」という問いへの医学的な正解は、「どの部位の、どんな毛を狙うか」によって決まります。
ここで重要になるのが、熱破壊式(HR)と蓄熱式(SHR)のターゲットの違いです。
- 熱破壊式: 濃くて太い毛の「毛根(毛母細胞)」を破壊するのが得意。
- 蓄熱式: 産毛や細い毛の「バルジ領域」を破壊するのが得意。
この関係性を理解せずに「痛くないから」という理由だけで蓄熱式を選んでしまうと、VIOや脇などの剛毛エリアで「回数がかかりすぎる」という不満に繋がります。
部位・毛質別!あなたに最適な方式判定表

アレキサンドライトレーザー(熱破壊式の代表)とダイオードレーザー(蓄熱式の代表)は、よく比較される競合関係にありますが、最近の医学的知見では「どちらか一方が優れている」のではなく、部位によって使い分ける「ハイブリッド照射」が最も効率的であるとされています。
「蓄熱式で失敗した」と後悔する人に共通する、クリニック選びの3つの盲点
知恵袋で「蓄熱式は抜けない」と嘆く方々の背景を深掘りすると、機械の性能以前の「運用の闇」が見えてきます。
1. 「出力設定」が低すぎる問題
蓄熱式は「痛くない」ことが最大の売りです。しかし、クリニック側がクレーム(痛みや火傷)を恐れるあまり、脱毛効果が出る閾値(しきいち)を下回る低出力で照射しているケースが多々あります。蓄熱式で効果を出すには、実は高度な技術と適切なエネルギー管理が必要なのです。
2. 「機械ガチャ」のリスク
多くの大手クリニックでは、熱破壊式と蓄熱式の両方を導入していますが、「当日の機械は選べません」という運用(通称:機械ガチャ)が一般的です。剛毛をなくしたいのに蓄熱式に当たってしまう、といったミスマッチが後悔を生んでいます。
3. 硬毛化への配慮不足
特に産毛に対して強い熱破壊式レーザーを当てると、逆に毛が濃くなる「硬毛化」という副作用が起きることがあります。このリスクを説明せず、全部位を一つの方式で押し通そうとするクリニックは注意が必要です。
臨床研究において、蓄熱式ダイオードレーザーと熱破壊式アレキサンドライトレーザーの5回照射後の減毛率に統計的な有意差は認められなかった。
出典: Journal of Dermatological Treatment – 2021年発表の論文より要約
【Q&A】知恵袋の「これって本当?」に専門医が忖度なしで答えます
納得して契約するための「3つの質問リスト」
「蓄熱式=悪」ではありません。大切なのは、あなたの毛質に合っているか、そしてクリニックが機械を正しく使いこなしているかです。
知恵袋の噂に振り回されてチャンスを逃す前に、次のカウンセリングでは以下の3点を必ず質問してみてください。
- 「私のこの部位(VIOなど)の毛質でも、蓄熱式で効果が出る出力を設定してくれますか?」
- 「部位によって熱破壊式と蓄熱式を使い分けることは可能ですか?(機械指定はできますか?)」
- 「もし数回受けて効果が実感できない場合、出力の調整や方式の変更は相談に乗ってもらえますか?」
これらの質問に濁さず、医学的根拠を持って答えてくれるクリニックこそが、あなたを「脱毛迷子」から救い出してくれる信頼できるパートナーです。
納得のいく選択をして、自信の持てるツルツル肌への第一歩を踏み出せるよう応援しています。
🏥 著者・監修者情報
K.S. 美容皮膚科専門医 / 医療脱毛クリニック総括院長
レーザー物理学と皮膚科学を専門とし、日本人の肌質・毛質に最適なレーザー出力設定を長年研究。症例数3万件以上の施術監修を通じ、硬毛化メカニズムの解明にも取り組む。「安易な『痛くない』という広告が、結果的に患者さんの不信感を生んでいる」という現状を変えるべく、中立な情報発信を行っている。
※本記事は自由診療(保険適用外)に関する情報を含みます。医療脱毛には火傷や硬毛化などのリスクが伴うため、必ず医師の診察を受けてください。
📚 参考文献リスト
- 日本美容皮膚科学会 医療脱毛の仕組み
- 厚生労働省 PMDA 医療機器承認情報
- “Comparison of long-pulsed alexandrite and diode lasers for hair removal”, Journal of Dermatological Treatment.